
8.空間を拡張する音色~音楽のはなし
作曲家であり、音楽監督であり、演奏者であり、エトセトラである後藤浩明さん。実を言うと最も早い段階から打合せを重ねていたのは、後藤さんでした。なんと昨年の4月に遡ります。タイトルもまだ『The Reed』ではなかった頃です。

お写真も頂いたのですが、ZOOM打合せの際のイラストがお気に入りなので、イラストでご紹介です笑。音楽に限らない、というよりは音楽に関してではない多岐に渡る話を様々にしながら、ふんだんにアイディアを、アドバイスを下さいました。そして、犬猫会に発破をかけて下さいました笑。打合せの度に変わっていく台本に並走し、最終稿に向けた改稿も後藤さんの後押しもあって踏み出せたのでした。

オンラインで読み合わせを聞いて頂いた日も。
ある日の稽古場に、形の異なる3つの鈴を持っていらっしゃいました。稽古を見ながらその場でチリーン、チリリンと響く鈴の音。一筋の光が走るような緊張感と、それでいて空間がどこまでも広がっていくような印象的な音色で、稽古場の空気がガラリと変わったのを覚えています。その鈴の音がそのまま、全体を通してキーとなる音になっていたのでした。

寄り添う音楽、とか、共に在る音楽、とか…。
どんな表現が相応しいでしょうか。鈴の音を聴いてから、添えて頂いた音楽は、私たちと一緒に呼吸をするような、葦を揺らす風のような、とても柔らかい手触りでどんどん『The Reed』の世界を拡張して下さいました。
この呼吸のような音楽を、これまた台詞同様に音を出して語ってくれたのは音響の杉浦由夏さんです。犬猫会のほぼ全ての音響を担当して下さっている杉浦さん。毎度無理難題に応えて頂いてますが、今回は劇中で「葦矢(あしや)」が飛ぶんですけれども、それはもう、ね。舞台の進行を握る音の数々でした。いったいいくつキュー(きっかけ)があったのか。今回も素晴らしいオペレーションをありがとうございました。

舞台って本当に様々な見どころ、聴きどころがあって困ってしまうのですが、配信では何度もご覧いただけます。ぜひ音楽にも耳を澄まして下さいね。
***
音楽の領域を超えるエトセトラ後藤さん。
現在こまつ座さんの『きらめく星座』にもご出演中です!
http://komatsuza.co.jp/program/index.html#more439
舞台は昭和15年の東京、浅草。レコード店「オデオン座」で暮らす家族たちを物語った音楽劇。1985年の初演では、作者の井上ひさしさんご自身で演出をされていたようです。
言葉を交わし、音楽を介し、異なる信条も時に痛みも、分かちあって大きく包み込んでくれる毛布のようなお芝居。後藤さんは演奏はもちろん、とてもチャーミングに演じられてました♪
東京公演は先日千秋楽を迎え、来月から地方へ回られます。ぜひチャンスがあったらご覧くださいね!!